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松山南地区少年非行防止主張大会

2023年11月22日 17時00分

本日午後、東温市の川内中学校で松山南地区の少年非行防止主張大会が開催され、9つの中学校の代表生徒による発表がありました。

久米中からは、3年 日浅さんが「非行の抑止力とは」と題して発表しました。発表内容は以下のとおりです。

     「非行の防止力とは」         久米中学校3年  日浅 瀬良

  皆さんは、青少年が「非行」に走る最大の理由は何だと思いますか?非行に関する情報に流されるまま興味本位で非行に走る、と考える人もいれば、人間関係がうまく築けなかったのではないかと考える人もいるでしょう。様々な問題が非行の理由だと考えていた私がこの夏出会ったのは、「暗闇の非行少年たち」という一冊の本でした。

 この本は、少年院を退院した3人の少年少女がやがて社会に出て更生していくまでを描いた実話です。実際に起こったことや起こり得ることが描かれているため、とてもリアリティがあります。まず、一人目の少女は、母親が震災で亡くなりそのショックのあまり父親が自殺を図ります。独り残された彼女は叔父夫婦に引き取られますが、なじめず、やがて高校進学後に学力不振となり深夜徘徊する仲間と非行を繰り返すようになります。二人目の少年は、学級で目立たない存在でしたが将来の夢を共有できる友人と出会います。そして、その友人が非行に手を染めるようになっても一緒にいたかったため、共に無免許運転をし不慮の事故に巻き込まれ、その事故のせいで友人は亡くなります。三人目は、いじめの被害者であった少女の話です。中学校時代にSNSによるいじめに遭った彼女は、日を追う毎にエスカレートするいじめに耐え切れず学校内で加害者を殺害してしまうのです。

 ここで私は、これまでの自分と、これら非行に走った少年たちとの根本的な相違点は何なのかを考えてみました。まず、私には自分のことを思ってくれている家族がいます。相談乗ってくれる母や自分が頑張っていることをサポートしてくれる父、つまずいたときにアドバイスしてくれたり趣味を共有できたりする姉の存在があります。そのような温かい家族との関わり合いが、これまで私を非行から遠ざけてくれた一番の理由だと思います。また学校では、相談に乗ってくれる友人や私を熱心に指導してくださる先生方の存在のおかげで、学校生活での日々が充実していたことも大きな理由です。これらのことから私は、青少年の非行を防ぐには何よりも周囲の大人の人が最も関係していると気付きました。家族関係はもちろん友人関係でも学校生活でも、私の周りにはいつも大人の人の存在があります。

 世の中には夫婦の仲がうまくいかず、両親が離婚する家庭や経済的に苦しくなり子供を育てられなくなる家庭など、様々な事情を抱えた家庭があります。私は、それが決して悪いことだとは思いません。しかし、それが子供にどのような影響を与えるものであるかということを忘れないでほしいです。親たちの不仲というものはその子供たちに多大な影響を与えます。子供を育てるということはそれなりに覚悟が必要です。子供に辛い思いを味わわせるような環境を親が作り出してはいけないと痛感しています。

 私は今の自分の家庭に満足しています。もちろんああだったら、こうだったらという欲求は、人間ですから多少なりともあります。どの家庭にも、当然不満はあると思います。でも、不満よりも幸福の方がはるかに大きいから、子供たちが非行に走ることが抑制されているのだと思います。

 私が今、最も訴えたいのは、親が自分の子供をどれほど大切でどれほどかけがえのない存在だと思っているかということを、子供に向けてしっかりと態度で示してほしいということです。子供にとって親は生活する上で絶対的な存在です。そして、子供が幸せな生活を送るためには親子の関わり合いが必要不可欠です。たとえ、学校に自分の居場所がないときでも、家に自分の居場所があれば子供は生きる力を回復できます。そして、しっかりと明日への一歩を踏み出せるのです。そしてもう一つ。家庭で十分な親の愛情を受けることのできない子供たちがいることも併せて心に留めておいてほしいです。そのような子供たちには、家庭で行き届かない分地域の大人の人が温かく見守っていってほしいです。私は今年で15歳ですが、見た目と違い中身はまだまだ子供です。そんな私のような子供たちには、いくつもの見えない危険な「社会の落とし穴」が用意されていると言っても過言ではないと思います。そんな私たちをしっかりと見届けて、守り抜く義務が地域の大人の人にはあるのでないでしょうか。非行の芽は、家庭と地域での親や大人たちがしっかりと子供たちに目を向けることで、かなり摘み取ることができると私は信じています。

 少年の非行の抑止力、それは他ならぬ子供を取り巻く大人たちの力が大きく関わっています。まずは家庭から。子供と真剣に向き合ってみてください。そして地域から。子供たちに温かい目を向けてどんどん声掛けをお願いします。世の中は、次の世代、次の世代へと引き継がれていきます。今、大人の人がしていることはやがて私たちの代に引き継がれます。そのとき私たちの未来の世界が青少年の非行問題のない、今よりももっと明るいものになることを、私は強く願っています。

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「子供を育てる大人の責務」を痛感させられる内容でした。  会場では聴いている周りをも魅了する堂々とした発表でした。

日浅さん、この度の受賞おめでとう。また、見事な発表だったよ。本当によく頑張りました!